妊娠・出産(帝王切開)体験記――その7 自然分娩への未練と向き合う

妊娠・出産(帝王切開)体験記――その6 突如、帝王切開の可能性を告げられる の続きです。

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帝王切開の可能性を告げられてから、夫にその旨を伝えました。
そして、友人に会うたびに「”帝王切開になる可能性がある”と言われたこと」を話しました。
話すことで、自分の気持ちを整理したかったのだと思います。

私の周りでは、
「帝王切開だろうが、自然分娩だろうが、母子ともに無事ならどちらでもいいよね」
という人が多かったです。

巷でよく言われている、帝王切開の妊婦を傷つけるフレーズ
「帝王切開だと楽でいいよね」
「下から産まなきゃ一人前じゃない」
「痛みに耐えてこそ母」
みたいなことを言う人はいませんでした。

※帝王切開を怖がりまくっている私を落ち着かせるために、
 保健師さんが”あくまでも気を使って”
 「自然分娩も帝王切開もどっちもお産。
  個人差はあるけど、私は両方経験して、帝王切開のほうが苦しまなくてよかったよ」
  (=だから、そんなに落ち込まないで、怖がりすぎないでね~の意味)
 と励ましてくれることはありました。

※※もちろん、帝王切開が楽だという意味ではないです。
 

……でも、誰にも言われなくても、
私本人が、自然分娩ではないことにモヤモヤを感じました。

あくまでも、私個人の場合ですが……
そのモヤモヤと向かい合ったときに、浮かんできたのは
”子供を自然分娩で産むという経験をしたかった”
”自然分娩で産んだという達成感を得たかった”
という気持ちでした。

周りに言われたのではなくて、
「自然分娩を経験しないと、子供に、世間に、自分に胸を張れない」
と自分が勝手に劣等感を抱いて、
自分を責めていたことに気づきました。

そして、ふと思ったのは、昔からある「安産」「難産」という言葉。

出産は決して安全ではありません。
何が起こるかわからないのが出産です。
だからこそ、母体も赤ちゃんも無事元気であることが「安産」なんですよね。

赤ちゃんや妊婦さんが一人でも多く助かるために
医療が発達し、妊婦検診をはじめ、病院での出産など
サポート体制が作られたのが今の日本のシステムであること。

昔の日本では、出産で命を落とす女性が今より多かったし、
助からない赤ちゃんも今より多かったでしょう。
今でも世界の中には、医療が受けにくく、母子ともに危険にさらされる事例もあるでしょう。

それに比べたら、事前に危険性が高いことがわかって、
リスクを回避できるなんて、私はラッキーなんじゃない?
この幸運は、江戸時代とかじゃなくて、
今の日本で医療を受けられる環境にいられるからだよね。
それってありがたいことなんじゃないかな?
もし事前にわからずに自然分娩して、
赤ちゃんに万が一のことがあったら……私は全然嬉しくない。
そして私も危険にさらされたら、夫も喜ばない。
子供を産んで終わりじゃなくて、育てなくちゃ!
赤ちゃんと私自身の命と、自分自身の”自然分娩で産みたい”っていう気持ち、
どっちを大事にしたい?

こんな感じで視点が変わったら、
やっと自分の中にあった自然分娩への未練から
少し解放されました。

帝王切開は、
母親のおなかを切って、赤ちゃんと母体を助けるために行われる、
命がけの出産です。

どんな出産の仕方でも、
命を大事にする選択肢を選んだ時点で、
もう立派な「母」だと思います。

それこそ、
自然分娩だろうが、帝王切開だろうが、無痛分娩だろうが、
女性が命がけでお産に臨んで、
母子ともに元気であることへの尊さは一緒なのです。

安産でありますように。
赤ちゃんが元気に生まれてくれますように。
私も無事でありますように。

こんな感じで、
出産に向けてちょっとずつ時間をかけて見方が変わっていきました。

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な~んて思いつつも、
手術前日まで
「あー、奇跡が起こって胎盤上がってないかな~」
「おなか切るの怖いなー」
とか思ってました。

未練、しつこい(笑)

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